[温泉街2] キャップ : 「来ちゃった」
[温泉街2] 藍素霞 : 「来ちゃった」
[温泉街2] 藍素霞 : 「来ちゃったとは…楽しくはないんですか?」
[温泉街2] キャップ : 「楽しくないっていうかさ、なんか僕が此処に居ると刺されそうで怖いんだよね」
[温泉街2] 藍素霞 : 「刺されそう」
[温泉街2] キャップ : 「人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて地獄に堕ちろって奴?もしくは三歩後ろを歩けない奴は背中刺されて死ねとか」
[温泉街2] キャップ : 「なんだかよくわかんないけどここに充満する空気が告げている!」
[温泉街2]
キャップ :
「じゃあ僕、別に来てるはずの葛城のところ行ってイチャイチャしたりみんなでワイワイしとくんで」
「君は自由だ一人で好きなようにしろ」
[温泉街2] 藍素霞 : 「ちょ、待ってくださいっキャップっ」
[温泉街2]
藍素霞 :
取り残された私。
私以外誰もいないその場に乾いた風が吹く。
[温泉街2] 藍素霞 : 「わ〜〜〜〜ん!!!父さ〜〜〜〜〜ん!!!!」
[温泉街2] 藍素霞 : つい、呼んだって来るはずのない、だけど私が一番縋りたい相手の名を、叫んでしまった。
[温泉街2] 森久保乃々 :
[温泉街2] 森久保乃々 : 私と巴さん、二人っきりの散歩。
[温泉街2] 森久保乃々 : しばらく歩いていると、だんだんと日が沈んできている。
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : にこにこと、森久保の隣を歩きつつ
[温泉街2] 森久保乃々 : 「………ふふっ」
[温泉街2]
森久保乃々 :
モヤモヤした気持ちも、消えたわけではない。
でも今は大分収まってきている。
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 上機嫌そう、とっても良し
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : そう思いつつ、昏くなり始めた街を楽しげに
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「…次、何処に行きましょう」
[温泉街2] 森久保乃々 : 「どうしましょう………」
[温泉街2]
森久保乃々 :
「…………」
少し歩く
[温泉街2]
森久保乃々 :
「あっ……」
[温泉街2]
森久保乃々 :
少しだけ足をつまづかせる。
転んでないので怪我はない。
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「ああそうだ、いったん戻ってもいいと思うわ…ん?」
[温泉街2]
巴マミ(31歳) :
「あら、大丈夫!?」
幸い隣に居たから、すぐに庇う姿勢に
[温泉街2] 森久保乃々 : 「だ、大丈夫です………」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「歩き疲れちゃったかしら?」
[温泉街2] 森久保乃々 : 「はい……そうかもしれません………」
[温泉街2] 森久保乃々 : 「一旦、ここら辺で休みたい……かも」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「ん~…」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「いっそ、お部屋戻る?」
[温泉街2] 森久保乃々 : 「ちょっと距離ありますし…贅沢言うなら……ここら辺で………」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「ん、大丈夫」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「じゃ、こっちで一旦ゆっくりしましょうか」
[温泉街2] 森久保乃々 : 「…はい、ありがとうございます」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「いいのよ、一気に回るものじゃないしね」
[温泉街2]
巴マミ(31歳) :
「はい、飲み物」
ペットボトルを手渡す
[温泉街2] 森久保乃々 : 「ありがとうございます…」
[温泉街2]
藍素霞 :
「キャップ〜……
とうさ〜ん…もうこの際葛城さんでも団扇さんでもいいからぁ……」
精神的に参っている少女が彷徨う。
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「…ん?」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : デジャヴ
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : なんか、途方に暮れてる子がまた一人
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「…ちょーっと待っててね、森久保ちゃん」
[温泉街2]
森久保乃々 :
「………」
ちょっと、困ってそうな様子に見えます。
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : スッと立ち上がり
[温泉街2] 森久保乃々 : 「わかりました巴さん、待ってます」
[温泉街2]
巴マミ(31歳) :
「ね、大丈夫?迷子?」
ふらつく藍素に声を掛ける
[温泉街2] 藍素霞 : 「あ、巴さ……っ」
[温泉街2] 藍素霞 : 「ダレー!?」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「えっ」
[温泉街2]
森久保乃々 :
「………?」
何を言ってるんでしょうか……?
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 人違いされてる…とは思うけど
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「大丈夫?多分…お初だけど」
[温泉街2] 藍素霞 : 「ごめんなさ〜い☆声が知り合いととっても似ていたもので〜☆」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「あ、あら…そう」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「えーっと、その」
[温泉街2]
巴マミ(31歳) :
「今大丈夫?なんだかその、大分困ってそう、だけども…」
不思議な子ね、と思いつつ
[温泉街2] 藍素霞 : 「こ、困ってなんかないですよ、私を誰だと思ってるんですか」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「えっと…」
[温泉街2]
森久保乃々 :
「………」
巴さん、すこし困ってそう。
[温泉街2]
森久保乃々 :
もりくぼも、少し手伝った方が……
いやでももりくぼじゃ特に何かできるわけじゃ………
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「まぁ、その、お節介だったのならいいけど」
[温泉街2] 藍素霞 : 「……」
[温泉街2]
巴マミ(31歳) :
「一応、旅館はアッチ、此処は結構複雑だしね」
指を指して
[温泉街2] 藍素霞 : 「知ってますよ、それくらい、というか検索できますし、ぴぴーん」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「ならいいのだけど、まぁ」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「こんな場所で一人だと…心配されちゃうかもだから、ね?」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : なにせ、森久保ちゃんと変わらぬほど小さい
[温泉街2] 藍素霞 : 「好きで一人になってるわけじゃ……っ」
[温泉街2] 森久保乃々 : ………行こう。
[温泉街2]
森久保乃々 :
あの人はここに来たばかりのもりくぼみたいだから、できることはしてあげたい。
巴さんは、今まで散々お世話になったから、少しだけでも助けたい。
[温泉街2] 森久保乃々 : 「あの……」
[温泉街2] 藍素霞 : 「何ですか!?」
[温泉街2] 森久保乃々 : 「ひうっ……!?」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「あ、森久保ちゃん…」
[温泉街2] 森久保乃々 : 「あっ…その……」
[温泉街2] 森久保乃々 : 「何か困ってそうだったので………」
[温泉街2] 藍素霞 : 「困ってなんかないですよ!!!私は優秀なので!!!困る事がないように設計されて、そう、父さんに、父さんに……」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「あ、あら…」
[温泉街2] 森久保乃々 : 「あ、は……はいぃ………」
[温泉街2]
藍素霞 :
「……父さん……」
なんとも言えない顔で震える
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「…大丈夫、大丈夫」
[温泉街2] 森久保乃々 : 「はい……」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「…よし」
[温泉街2] 森久保乃々 : 「その、」
[温泉街2] 森久保乃々 : 「大丈夫ですから…」
[温泉街2]
巴マミ(31歳) :
「一旦、一緒に行きましょうか」
意を決して
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : その手元には、チケットもある
[温泉街2] 森久保乃々 : 「気楽に……気楽に…………」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 多分、迷子、或は他の用件だ
[温泉街2] 藍素霞 : 「……一緒に?」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「こんな場所で立ち話は落ち着かないでしょ?」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「待ち合わせなりなんなり」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「多分、目立つ場所が良いでしょうから」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「ね?」
[温泉街2] 藍素霞 : 「はは、そ、そうですね」
[温泉街2] 藍素霞 : 「人違いをしたお詫びもしなければならないので、どうしてもと言うなら、はい」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「ええ」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「森久保ちゃんもその、予定と違うけど良い?」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「一旦、戻ることになるけど…」
[温泉街2] 森久保乃々 : 「はい、大丈夫ですよ」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「よし決定!」
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 「じゃ、一旦旅館に戻りましょうか」
[温泉街2]
藍素霞 :
(……よかったああああああ!!!
キャップが何も言わずどっか行って……
キャップ本人や葛城さんと合流できれば一番良かったけど……
にしてもこの人見れば見るほど巴さんなんだよな。なんか雰囲気も近くない?巴さんに比べて大人だけど)
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : そのまま、二人を先導するように前を歩く
[温泉街2] 巴マミ(31歳) : 行き先は旅館、そろそろ日も暮れる、そんな時間
[温泉街2] 巴マミ(31歳) :
[温泉街2] 巴マミ(31歳) :
[温泉街2]
藍素霞 :
[温泉街2]
藍素霞 :
[温泉街2] 藍素霞 : 月を見上げて、夜の街で息をする。
[温泉街2]
藍素霞 :
「あははー、なんだかんだ愉快な人だったなー、あの人達」
「可愛らしいお二人さんも見れたし割と満足かも」
[温泉街2] 藍素霞 : 「あ、私温泉入ってない!?散歩してる場合じゃなくないですか!?」
[温泉街2] 藍素霞 : 少しうなだれて
[温泉街2] 藍素霞 : 「まあ、いいか。キャップと皆さんと合流した後で……」
[温泉街2] キャップ : 「よっ」
[温泉街2] 藍素霞 : よく聞き覚えのある声を聞いて、振り返る。
[温泉街2]
藍素霞 :
また、その声と同じようで、別人かもしれないと思った。
まるでこの街に放り出された直後のように。
[温泉街2] 藍素霞 : ……キャップと初めて会った夜のように。
[温泉街2] 藍素霞 : 「キャップ。いいんですか?私と貴方が一緒に居ると刺されるとかなんとかの話はどうなったんですか?」
[温泉街2] キャップ : 「アレかい?」
[温泉街2]
キャップ :
「なんていうか、もういいだろう」
空を見上げて……
「そういうのはもう充分だし、お前にそんなの求められてないさ」
[温泉街2]
藍素霞 :
「何ですか、それ」
「私はいらない子?」
[温泉街2]
キャップ :
「人にはそれぞれ求められるべき物が違うって事さ」
「少なくとも君は、僕が最初思ってた事には向いてなかった。その他の役割がある。それだけだよ」
[温泉街2] 藍素霞 : 「そうですか」
[温泉街2] キャップ : 「もしかしたらあのロクデナシも、自分の元じゃなくて僕の元の方が向いてるから君を捨てたのかもしれないよ?9割方ないけど」
[温泉街2] 藍素霞 : 「父さんが」
[温泉街2] キャップ : 「慣れはしたけど、まだ忘れられちゃいないんだろ、アイツの事」
[温泉街2] 藍素霞 : 「当たり前です。親、ですから」
[温泉街2] キャップ : 「いつか会わせてやるって……言ったよな」
[温泉街2] 藍素霞 : 頭をわしゃわしゃと撫でられて、目を瞑る
[温泉街2] キャップ : 「みんなが待ってる。行こう」
[温泉街2]
キャップ :
アイモト
「行こう、藍素」
[温泉街2] 藍素霞 : 「いつもみたいに、スミちゃんと呼ばないんですか?」
[温泉街2] キャップ : 「いや……」
[温泉街2] キャップ : 「アイツが、弟がさ。君の事、こうやって呼んでた気がして。ちょっと違ったりした?」
[温泉街2] 藍素霞 : 「父さんが」
[温泉街2] 藍素霞 : 「父さんが……あはははっ」
[温泉街2] 藍素霞 : 「そーですネ、そうやって呼ばれてた気がします。何故か、くっきり思い出せませんけど」
[温泉街2]
キャップ :
「はははは……
どうせあと一日あるんだ、満喫してから帰ろうぜ」
[温泉街2] 藍素霞 : 「はいっ」
[温泉街2]
藍素霞 :
[温泉街2]
藍素霞 :
[温泉街2]
藍素霞 :